Research
当研究室はバイオ研究におけるテクノロジー開発に強みを持ちます。「微細で複雑な生命現象を計測する技術」「データを整理し理解へ導く技術」「データからモノを創り出す技術」を相互連携させて研究開発を進めています。ここでは、これまでに開発したテクノロジーや進行中のプロジェクトを紹介します。
研究キーワード
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生物工学、バイオインフォマティクス、酵素工学、タンパク質工学
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シングルセル解析、空間オミクス解析、ゲノム解析、メタゲノム解析、トランスクリプトーム解析
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マイクロ流体デバイス、ドロップレット、NGS、AI、機械学習
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微生物、バクテリア、ファージ、腸内細菌、未培養微生物、動物細胞
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バイオものづくり、マイクロバイオーム
01
微細で複雑な生命現象を計測する技術
バクテリア・アーキア・ウイルスなどの微生物のゲノムや遺伝子発現をシングルセル(粒子)レベルで解析する技術を開発しています。極めて小さく多様な微生物たちを高精度かつハイスループットに分析するため、そのプラットフォームとしてマイクロ流路(ドロップレット)を採用した新手法を開発*しました。未知の環境微生物のゲノム情報を大規模に取得する機能を実現し商用化しています**,***。
Hosokawa et al. (2017) Sci Rep*
Chijiiwa et al. (2020) Microbiome**
Nishikawa et al. (2022) ISME Commun***
Hosokawa et al. (2023) Biophys. Rev.
Arikawa et al. (2021) Microbiome
02
データを整理し理解へ導く技術
取得した大規模な微生物ゲノムデータをより正しく精密な情報に改善し、整理・理解するために、データベースとデータ処理のワークフローを開発しています。
シングルセルゲノムをメタゲノムと統合し、ゲノムの完全性を向上させる技術*やシングルセル特有の配列エラーを排除する技術**を開発しました。シングルセルゲノムは土壌や海洋の解析を得意とし、メタゲノムでは取得できない微生物のゲノムを獲得することができます***。
Arikawa et al. (2021) Microbiome*
Kogawa et al. (2018) Sci Rep**
Arikawa et al. (2023) CSBJ***
03
データからモノを創り出す技術
大規模な微生物ゲノム情報をもとに新規酵素遺伝子などをデータベースから探索すれば、遺伝子組換え技術を用いて目的のタンパク質を生産・評価・改変することができます*。例えば、薬剤耐性菌に作用する溶菌酵素**やプラスチック分解酵素***などのものづくりを進めています。
Hosokawa et al. (2023) J Biosci Bioeng*
Yoda et al. (2023) bioRxiv**
Mabashi-Asazuma et al. (2023) bioRxiv***
Hosokawa et al. (2023) J Biosci Bioeng
Technology
SAG-gel (bit-MAP®)
難培養性の微生物の分析に用いられてきたメタゲノム解析では、「どの微生物がどの遺伝子をもっているのか?」を関連付けることが困難でした。私たちが開発したSAG-gel(bit-MAP®)は、この関連付けを可能とし、複雑な微生物集団を細胞1個毎に調べる技術です。微小なカプセル内に微生物を物理的に1細胞ごとに封入させ、個別のカプセル内部で微生物からのDNA抽出・増幅が進行し、ゲノム解読へのプロセスが小さなカプセル内で進められます。得られる情報が1細胞由来であるため、複雑な計算処理を必要とせずにゲノムを決定でき、微生物の機能を調べることができます。本法は、海洋や土壌の細菌やヒト腸内細菌などの微生物ゲノム解析に広く用いられています。
Chijiiwa et al. (2020) Microbiome
SMAGLinker
シングルセル解析は細胞1つずつ個別にゲノム配列を決定する特徴を持ち、近縁細菌・細菌株間の識別が可能です。しかし、シングルセル解析単独では得られたゲノムが不完全であることが多い課題も残されていました。本手法では、同一サンプルからメタゲノム解析とシングルセル解析をそれぞれ実行してデータを得たのち、シングルセルデータを参照先としてメタゲノムデータの分別を行い、細菌ごとに配列を割り当てます。最後に、ペアリングされた両データを統合することで、広範なメタゲノムデータと特異性の高いシングルセルデータの良さを足し合わせて、データを相互に補完した完全性の高いゲノム配列を出力します。SMAGLinkerは一連の操作をワークフローとして構築したものです。
Arikawa et al. (2021) Microbiome
ccSAG
シングルセルゲノム解析から得られる配列情報には、偏りや誤った配列が含まれることがあります。私たちは、「ccSAG」という新しいデータ処理技術を開発しました。これは、単一細胞から得られたゲノム(SAG)のデータをクリーニングし、組み立てるための解析ワークフローです。この方法では、同種または同株由来の複数の単一SAGを組み合わせ、高品質のゲノムデータを作成します。さらに、この技術により、同じ微生物株内での遺伝子の微細な変異も特定できます。このワークフローを使うことで、未培養の微生物からほぼ完全なゲノムを得られ、その微生物の遺伝的多様性を詳細に分析することが可能になります。
Kogawa et al. (2018) Sci Rep
Bacteria scRNA-seq
シングルセルRNAシーケンス(scRNA-seq)は、細菌の中でも特に少ない数の亜集団を特定し、その多様性を明らかにする技術です。我々は、細菌のRNAを効率的に解析するための新しい方法を提案しています。この方法は、理化学研究所で開発されたRamDA-seqと、Cas9を用いたrRNAに由来するcDNA除去を組み合わせたものです。この組み合わせにより、実際に、単一の大腸菌細胞から1000種以上の遺伝子を検出することができました。これは従来の方法よりも少ないコストで効率的に遺伝子発現情報を得ることを可能にしており、今後、様々な細菌の遺伝子発現解析に活用が期待されます。
Nishimura et al. (2023) J Biosci Bioeng
Projects
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科学技術振興機構: 創発的研究支援事業、大規模1細胞ゲノムから設計する微生物叢の戦略的制御、2022年 - 2024年 細川 正人
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日本学術振興会: 科学研究費助成事業、挑戦的研究(萌芽)、1細胞解像度で紐解く不均質な細菌群集からの亜集団発生、2023年6月30日 - 2026年3月31日 細川 正人
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(分担)日本学術振興会: 科学研究費助成事業、挑戦的研究(萌芽)、新規PET分解菌のシングルセルゲノム情報に基づくPET代謝の理解と応用、2024年6月28日 - 2026年3月31日 吉田 昭介、細川 正人
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(分担)日本学術振興会: 科学研究費助成事業、学術変革領域研究(A)、細胞質ゲノム編集と遺伝子導入技術の開発、2024年4月 - 2029年3月 有村 慎一、奥野 未来、石綱 史子、高梨 秀樹、細川 正人
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(分担)日本学術振興会: 科学研究費助成事業、学術変革領域研究(A)、細胞内共生オルガネラのゲノム制御:技術革新から生命現象の理解と応用へ、2024年4月 - 2029年3月 有村 慎一、細川 正人 他
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(分担)日本学術振興会: 科学研究費助成事業、基盤研究(A)、接合伝達で獲得したプラスミドへの細菌細胞の初期適応過程の解明、2023年4月1日 - 2028年3月31日 野尻 秀昭、細川 正人
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(分担)科学技術振興機構: 革新的GX技術創出事業(GteX)、次世代バイオものづくりを駆動する高度オミクス計測・解析基盤の開発、2023年10月 - 馬場 健史、細川 正人 他
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(分担)日本学術振興会: 科学研究費助成事業、基盤研究(S)、腸内細菌による粘膜バリア構築とその破綻に関する統合的理解、2023年4月12日 - 2028年3月31日 長谷 耕二, 新藏 礼子, 細川 正人, 大橋 若奈, 松田 幹
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(分担)日本学術振興会: 科学研究費助成事業、基盤研究(A)、海底下生命から解き明かす生命の極限とその適応、2023年4月1日 - 2027年3月31日 諸野 祐樹, 伊藤 元雄, 細川 正人, 加納 英明, 井尻 暁, 阪口 昌彦
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(分担)日本学術振興会: 科学研究費助成事業、基盤研究(B)、肺炎球菌の細胞壁分解能が病態形成と薬剤耐性獲得に果たす役割の解明、2023年4月1日 - 2027年3月31日 山口 雅也, 川端 重忠, 住友 倫子, 細川 正人, 山下 隼人
終了
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NEDO: 官民による若手研究者発掘支援事業(スタートアップ課題解決支援型)2023年8月15日 - 2024年2月29日 細川 正人
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(分担)日本学術振興会: 科学研究費助成事業、基盤研究(A)、シン・パレオゲノミクスが創る博物館資料群活用の新展開、2021年4月5日 - 2024年3月31日 覚張 隆史, 松前 ひろみ, 金原 正明, 本橋 慶一, 岡崎 健治, 中込 滋樹, 石谷 孔司, 細川 正人, 和久 大介
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日本学術振興会: 科学研究費助成事業、基盤研究(B)、シングルセルゲノムデータに基づく未培養微生物の戦略的資源化プロセスの開発、2021年4月1日 - 2024年3月31日 細川 正人, 西川 洋平
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(分担)日本学術振興会: 科学研究費助成事業、基盤研究(C)、微小組織多領域シークエンスによる免疫療法治療抵抗性分子機構の解明、2019年4月1日 - 2022年3月31日 林 大久生, 高持 一矢, 細川 正人, 末原 義之, 齋藤 剛
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(分担)日本学術振興会: 科学研究費助成事業、基盤研究(S)、新規生理活性物質生産株の超ハイスループットスクリーニングプラットフォーム構築、2017年5月31日 - 2022年3月31日 竹山 春子, 安藤 正浩, 細川 正人, 油谷 幸代
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日本学術振興会: 科学研究費助成事業、挑戦的研究(萌芽)、1細胞ゲノムの非増幅シーケンスによる未培養微生物の完全長ゲノム取得、2019年6月28日 - 2021年3月31日 細川 正人
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日本学術振興会: 科学研究費助成事業、基盤研究(B)、1細胞内のゲノム構造と転写活性制御を紐解くイメージ・シーケンス統合解析、2018年4月1日 - 2021年3月31日 細川 正人
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科学技術振興機構: 戦略的創造研究推進事業さきがけ 統合1細胞解析のための革新的技術基盤、組織内の細胞多様性を明らかにする超並列ゲノム解析技術の創成、2015年10月 - 2019年3月 細川 正人
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日本学術振興会: 科学研究費助成事業、若手研究(B)、微小反応場を利用した難培養微生物のシングルセルゲノム増幅法の開発、2014年4月1日 - 2016年3月31日 細川 正人
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(分担)日本学術振興会: 科学研究費助成事業、基盤研究(S)、マイクロフルイディックエンジニアリングの深化と生体分子高感度定量計測への展開、2011年4月1日 - 2016年3月31日 庄子 習一, 竹山 春子, 水野 潤, 関口 哲志, 細川 正人, 尹 棟鉉, 鈴木 美穂, 福田 武司, 船津 高志, 武田 直也, モリ テツシ, 枝川 義邦
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(分担)日本学術振興会: 科学研究費助成事業、基盤研究(B)、単一細胞内DNA分子数の新規デジタルカウンティング手法の開発、2012年4月1日 - 2015年3月31日 竹山 春子, 横田 恭子, 細川 正人
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日本学術振興会: 科学研究費助成事業、特別研究員奨励費、セルクロマトグラフィーによる循環腫瘍細胞の量的・質的評価法の開発、2011年 - 2013年 細川 正人
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日本学術振興会: 科学研究費助成事業、特別研究員奨励費、多孔質担体集積基板を利用した単一細胞の網羅的な遺伝子発現解析法の開発、2009年 - 2010年 細川 正人