論文概要
私たちの健康に重要な役割を果たすヒト常在菌。しかし、その全容解明には個々の細菌を詳しく調べる必要があり、これまでの技術では困難でした。
早稲田大学理工学術院の細川正人(ほそかわまさひと)准教授と早稲田大学発スタートアップbitBiome社の研究グループは、革新的なシングルセルゲノム解析技術を用いて、この課題に挑戦し、世界最大規模の3万個の口腔内細菌および腸内細菌の個別ゲノム解析を行いました。
構築したbbsag20データセットからは、従来法では見落とされていた数百種の細菌のゲノム・遺伝子が発見されました。また、抗生物質耐性遺伝子やその「運び屋」の存在が個々の細菌単位で明らかになり、細菌間での遺伝子のやり取りを詳細に調査することが可能になりました。
この成果は、常在菌を対象とした個別化医療や新たな抗生物質耐性対策の開発に貢献する可能性があります。
本研究成果は早稲田大学よりプレスリリースが発表されています。
A Single Amplified Genome Catalog Reveals the Dynamics of Mobilome and Resistome in the Human Microbiome Tetsuro Kawano-Sugaya, Koji Arikawa, Tatsuya Saeki, Taruho Endoh, Kazuma Kamata, Ayumi Matsuhashi and Masahito Hosokawa, Microbiome, https://doi.org/10.1186/s40168‑024‑01903‑z